フリーとしてゲームプランナーや、ゲーム系の専門学校にてプランナーの授業を担当しているIchikouの千葉です。この度初めてCEDECにて開催されているPERACON 2023にエントリーしました。結果は8位でした!初めてのエントリーで上位を獲得できたので、非常に嬉しく思います。審査員の皆様、一般投票で票を入れていただいた皆様に感謝申し上げます。
PERACONとは
PERACON「ペラ企画コンテスト」は、事前に設定されたテーマに沿った企画コンセプトをA4用紙1枚(相当サイズの画像)にまとめて競う、誰でも参加できる「コンセプトシートコンテスト」です。 15秒ほどで内容が理解できるものであれば表現は自由。
https://peracon.cesa.or.jp/
プロ、アマチュア問わず誰でも応募できるイベントとなっています。
エントリーの経緯
2021年くらいから専門学校の講師として登壇し、学生にはPERACONへ応募して入賞を目指すようにアドバイスや添削などを行っていたのですが、その過程で私も応募したくなり、エントリーに至りました。学生に応募してもらっている手前、私の順位があまりにも低かったら非常に情けないなと怯えつつも挑戦しましたw
テーマは【か・え・る】
2023年のテーマは【か・え・る】でした。このテーマに沿って企画書を作成していくわけです。「変える」「帰る」「蛙」「換える」「返る」「替える」など色々なワードが連想され、コンセプト選定にかなり悩みました。「蛙」「変える」「帰る」あたりは考えやすく企画書が多くなりそうかなと考え、実際エントリーされた作品も「蛙」や「変える」を扱う企画書が多く見受けられたかなという印象です。
企画にあたって
私はPERACON自体初出場でしたが学生にPERACONについて相談を受けることもあり、なんとなく傾向や対策についてはやんわり分かったつもりでいました。「ひねりすぎたテーマは審査員受けしない」「シート構成」など、いわゆる小手先のテクニックだけではやはり上位を狙うのは難しいというのはわかりきったことですし、過去数年分でトップに君臨しているペラコンの企画書は「シンプルで奥深く」「ワンアクションで拡張性の高いもの」ミニゲームで終わらない「長く遊んでもらえる展望感」が強く、そのような企画を目指すことにしました。また、上位を狙うという目標の他に「学生の見本となる企画」というミッションを掲げました。
実際に取り組むに当たって、まず「蛙」や「変える」で連想されるゲームは多くなるだろうと考え、「帰る」「孵る」「還帰る」などで考えていました。取り組み始めた当初は「敵を倒すと卵になり、孵ったら仲間になる」というのをメインに何個か企画を考えていましたが、数日悩んだ結果やっぱり王道の「変える」にしようと。真偽はともかくエントリーが早い方が有利という情報もあったのでここで企画を変更するのは少し勇気が入りました。
何を変える?
では何を変えるのかを考えます。プレイヤーキャラクターを変えるか、当初の企画「敵を倒すと卵になる」というのも「変える」としては成り立ちますが、ちょっとインパクトに欠けるなと。ある日カメラを持って目的地まで車を運転している時にふと「カメラってレンズを交換するな」と思いつきました。ゲーム画面をそのまま被写体におきかえて、レンズを交換するとステージが変わる企画はどうだろうか? ズームさせたり遠ざけたり、ぼかしたり歪ませたり、色々できそうだと。カメラで見えるものは2次元的なので2Dに決め、操作感や交換するレンズについて深掘りしていった結果、レンズでは専門的すぎる気がしたのでフィルターという言葉に置き換えました。
ありきたりな企画になり得る「色を変える」「ものを変える」というのも、カラーフィルターや歪みフィルターとなどの「フィルターを交換する」というアクションによってパズルアクションになりそうだなと考えました。さらにフィルターを掛け合わせることで、「ワンアクションで拡張性の高いもの」を目指しました。
降ってきたアイディアのためロジックで固めたアイディアを期待していた方、本当にすみません……
考えたことは、とにかく紙に書きまくる
パソコンやタブレットなどガジェットが大好きですが企画の草案部分はとにかく紙に書いて書いてを繰り返しています。春にiPadを購入し、アナログの感覚で自由にすらすら書き込めてそちらも大変お世話になりましたね。
構想ができた
散らかったアイディアを構想としてしっかりまとめます。
カメラのレンズ交換をヒントに、「フィルターでゲーム画面を変える」をゲームコンセプトにします。
操作は移動とジャンプだけでフィルターによる遊びを強調するようにし、フィルター単体のアクションが基本的な遊び。
フィルターを掛け合わすアクションを拡張的な遊びに位置付け。
これでなんとかまとまってきましたね。
企画書作成
企画書を作成します。PERACONの応募について要件に「A4用紙1枚」「15秒程度で理解できる内容」とあったので、文章や説明を多く入れずなるべくシンプルな構成にしました。私はパワーポイントで企画書を作成することが多いです。作成を手順化しているのでこちらで紹介したいと思います。
レイアウト決め
文章や画像を入れる位置をざっくりレイアウトします。

装飾
文字や背景の装飾、素材などを作成していきます。

完成・投稿
完成です!7月のうちに投稿を目標に、それもやはり「投稿が早い方が有利」という言葉が脳裏にちらついたので、できたら確認してさっさと投稿しました。エントリーNo. 14でした。

結果発表まで
PERACONの投稿は投票期間が7月下旬くらいからスタートし、8月半ばまでの受付でした。受付の間と受付締め切りの後10日間ほど作品の推しを投票できる期間があり、一般投票といって、審査員ではない方が投票できます。
この期間私は7月末くらいに提出したので、その後2週間の間一般票がついていないかドキドキしましたね。14番目のエントリーだったこともあり、ありがたいことにポツポツと投票をいただき上位にありましたが、結果発表の1週間前くらいには15番目くらいの順位でした。結果発表当日、私は仕事でCEDECのPERACONのセッションを視聴できておらず、CEDECを聴講している仲間や、学生からLINEやメッセージが届いて結果を知りました。
順位について&推し作品
今年も上位の作品はどれも素晴らしい作品が多く並んでおり、その中に食い込んで入賞できたことは大変嬉しく思います。7位、8位、9位が同じ得点だったので、接戦だったんだなとヒヤリ。
上位層に関しては一般得票数がきっちり入っていてかつ審査員からも評価されているものが多かったですね。反対にしっかりと一般得票を獲得していながらも審査員票が入っていないという作品もあり、こういうこともコンテストの醍醐味なのかなと実感しました。
個人的推し作品
4位『ふっかつくん』
非常にわかりやすく、たったこれだけのスライドで伝わるのか!と非常にカッコイイなと。
20位『時代錯誤』
アイディアも面白く、シンプルながらワンアクションで拡張性の高そう!すぐに頭の中でゲームがイメージできました。